中国のSandu Publishingという出版社から出された「アジア・太平洋デザイン年鑑 No.16」の審査員をさせて頂きました。日本や南米を含む28カ国から多くの作品が出品されており、日本人も上位賞にも入っています。その出版を記念してインタビューを受けましたので、ご覧いただければと思います。
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[質問1]
「アジア太平洋デザイン年鑑」コンサルタントについてと、今回の応募作品全体のレベルにつきまして、ご感想はいかがでしょうか。印象に残るいい作品を何点か教えていただけますか。
[答]
今回データでの審査になりましたが、本や商品など、やはり実物で審査したいという気持ちが強かったです。レベル的には毎年高いので、今回が特に優れていると言えないのですが、タイポの素晴らしいのが目につきました。特に好きだったのが、「&More」と「Discover ZJU」と「Champaca」でした。フォルムが美しいし、アイデアがあるのも気に入りました。他には「Azabu Ttoriizaka First」と「HITO to KI to HITOTOKI」が印象に残りましたが、細やかな配慮があり、デザインの魅力を改めて気づかせてくれました。
[質問2]
今回の年鑑の審査を経て、アジア太平洋地域のデザイン業界において何かお気づきの変化があるでしょうか。
[答]
今回の審査だけではないのですが、アジア太平洋地域のレベルがどんどん高くなっているのは感じます。特に中国はデザインに対する熱量を感じ、なかでも学生や若者の熱量は素晴らしいと思います。
[質問3]
多元文化の共存と融合がアジア太平洋デザインの特徴です。ここ数年世界で日本デザインの影響力をどう思われますか。
[答]
日本デザインの影響力は確かにあると思います。日本のデザインは独特の空気感を持っていますし、それを「美しく機能的」と思ってもらえてると思いますが、他の国も日本にはない感性のデザインがあり、とても興味深いです。その融合がアジア太平洋のデザインのパワーになり、全体のレベルアップになっていると思います。
[質問4]
ここ数年さまざまな新技術の活発がさらにデザインの多様化を推し進めています。「いいデザイン」の基準はともに変化しつつあると思われますか。デザイナーの仕事が新しい技術からどのような影響と挑戦を受けたのでしょうか。
[答]
コンペティションとしての「いいデザイン」は変化していると思います。新技術を駆使したデザインや自由な発想が上位の賞をとるようになりました。しかしながら、デザインの根本であるコミュニケーションとしての「いいデザイン」は、いつになっても変わらない気がします。どちらを優先すべきかは審査をしながらいつも悩むのですが、その解決こそが、デザイナーのこれからの挑戦のような気がします
[質問5]
近年、さまざまな地域および世界的なデザイン賞が次々と現れました。これがデザイナーに対して大きな刺激となるでしょう。今後の「アジア太平洋デザイン年鑑」賞はどのような側面に努力と試みをしたらよいでしょうか。次の「アジア太平洋デザイン年鑑」はどのような年鑑になると望んでいらっしゃいますか。
[答]
賞が増えることは良いことだと思いますし、賞をとることによって自信や夢が広がりますので、多くの人に参加して欲しいと思います。それから、審査は現物を見ながら行うべきだと思います。看板など大きなものは難しいと思いますが、本や商品などは、手触りや中身なども見たいところです。それによって「新技術」だけに頼ることのない審査ができる気がするからです。私も色々な審査を企画したり、審査員として参加していますが、審査員同士のコミュニケーションもすごく大切に思います。「アジア太平洋デザイン年鑑」を充実させるためにも、参加人数を増やすことと、現物の審査をぜひ実施してほしいと思います。