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Lu Junyi Design Live のインタビュー

中国オンライン・デザイン・メディア「Lu Junyi Design Live」のインタビューを受けました。中国語なので読めないと思いますので、日本語を掲載します。

https://mp.weixin.qq.com/s/xs1U_VmxsDLCeHt6uyrD9w

 

[質問1]
松永真デザイン事務所の経験を教えていただきたいです。そして、事務所時代に学んだ今もその影響を受け続けてきていることがもしあれば教えて頂けませんか?

[答]
松永さんとの仕事は、「教えてもらう」というよりは、「見て学ぶ」という感じでした。また細かいことはあまり注意されず、コンセプトを大切にするように習いました。松永さんの言葉で一番印象的なのは、「デザインしないこともデザインだ」という言葉です。何もしないという判断も、一つのデザインだという意味ですが、現在の私のデザインがシンプルなのも、この言葉が影響していると思います。

[質問2]
動くピクトグラムと比べ、静態、動かないポスターの良さがあると思われますか?

[答]
動かないポスターよりも、やはり動くピクトグラムはインパクトもあり伝わる速度も速いと思います。ただ、電力がストップした時などは機能しませんし、またエネルギーも大量に必要とします。その点動かないポスターは「壁」があれば誰でも見るもとが出来ます。また動かないワンビジュアルの強さは、心に残る印象的なものになると思います。

[質問3]
名作「無印良品キャンプ場」シリーズポスターの製作経緯について、紹介していただけませんか?

[答]
1/プレゼン
「無印良品キャンプ場」のポスターは、発表の半年前にプレゼンします。だいたい20案くらい考え、4案くらいに絞り提案して、無印良品と話し合いながら1つに決めていきます。

2/ビジュアルの制作
決まったビジュアルを制作していくのですが、アイデアによっては自分で制作したり、自分で制作出来ないものは、アーティストにお願いして制作します。この時大切にしているのは、「クオリティを上げる」ということです。そのためには色々な実験をしたり、情報を招集したりして研究する事が大切です。撮影の時も、ビジュアルに合わせてカメラマンを変えていきます。

3/印刷
ビジュアルのクオリティを上げるのも大切ですが、ポスターは印刷も大切だと思っています。そのために、プリンティングディレクターという、印刷に詳しい人と組んで、色の調整や紙との調子合わせなども研究しています。

[質問4]
ポスターはアートだと思いますか?そして、今この時代にポスターの作用と価値とは?

[答]
ポスターは商業的に必要な物なのでアートだとは思いませんが、ポスターには「アート感覚」は必要だと思います。ただメッセージを伝えるだけでしたら何も感動はしませんが、「アート感覚」を持ったポスターは、人に感動を与え、より強いメッセージを伝えることが出来ると思います。またアート感覚がすぐれたポスターは、クライアントのイメージアップにもつながり、企業や社会を豊かにしてくれると思います。

[質問5]
良いポスターの要素について、新村さんの観点を聞かさせてください。そして、どうやってレベルの高いポスターを制作しますか?

[答]
まず「メッセージをシンプルにする」事だと思います。文章やビジュアルが複雑ですと、何を言いたいのかが伝わりにくいですので、伝えたいことを絞ってシンプルな文章とシンプルなビジュアルにするべきです。次にそのビジュアルのクオリティを上げていくことだと思います。見た目はシンプルだけど、人が感動するようなビジュアルを作り上げることが、レベルの高いポスターになると思っています。

[質問6]
受賞多数のデザイナーとして、新村さんにとって、「デザインアワード」とはなんでしょうか?「受賞する」の意味はなんでしょうか?

[答]
デザイン関係にはたくさんの「賞」があり、何歳になっても「受賞」は嬉しいものです。受賞したいと思う欲求が、より高いクオリティのポスターを作ろうとするし、デザインセンスも磨かれていくので、「デザインアワード」は必要ですし、これからも存在して欲しいと思います。ただ、それが最終目的になってしまうと、デザインと社会との繋がりが貧弱になると思います。企業や社会の事を考えてデザインすることが一番で、デザインワードは、その次にくるものだと思います。

[質問7]
デザイン教育とデザインの関係性について、いかが思われますか?

[答]
「デザインと社会」を考えた時、デザイナーばかりがデザインセンスを上げても意味がなく、デザインを受け取る社会(一般の人々)のデザインセンスのアップが必要だと思っています。社会のデザインセンスがアップすれば、アート的なポスターはますます必要とされるし、デザインのアート感覚もますます必要になってくると思います。そのためには子供の頃からの教育が必要だと思っています。特に小学校のデザイン授業は大切で、デザインの必要性や楽しさを小さな頃から教えていくべきだと思いいます。

[質問8]
若いデザイナーに一言、よろしくお願い致します。

[答]
若いデザイナーは、想像力やデザインセンスも良く素晴らしいと思います。特に中国の若いデザイナーや学生は、意欲もありどんどん伸びているのを感じます。もしデザイナーとして悩んでいる人がいるのでしたら、ぜひ「自分らしさ」に挑戦して欲しいと思います。デザインセンスが少ししかなくても、自分らしい個性でデザインすれば、色々な人が注目してくれます。(僕もセンスのない人の一人です)

[質問7]
新村さんにとって、「デザイン」とはなんでしょうか?

[答]
小学生の時に出会った美術の先生の影響でデザイナーになりましたが、その先生に出会わなければ、私は漁師になっていたかもしれません。そうゆう意味では「デザインは運命」かもしれません。また自然がいっぱいな田舎で育った私がデザインのモチーフに選ぶのは、「魚や草花」が多いです。そうゆう意味では「デザインは人生」かもしれません。基本的にデザインはお金を稼ぐための仕事です。でも仕事以上の魅力を持っていますし、私に「人生を楽しむための生きがい」を与えてくれます。